言ってはいけない一言

「ある共同体で共有される認識は、その共同体を維持する為に作り上げられた仮説であって、その認識が真か偽かはまったくの別問題だ。大多数の人が真と捉えている事柄も、ある少数の立場から見れば、まったく馬鹿げたたわ言にしか聴こえぬだろうし、その逆も然りだ。しかし、多くの場合、大多数の立場にいる者の殆どはその人数の多さを誇るだけで、演繹思考も帰納思考もなく、人数の多さに由来する常識という鎖に縛られて満足してしまう。しかも、誰が一番たくさん鎖を身に付けているかを競い合って。それでいいのだろうか? 
―――それでよいのだよ。奴隷がいないと不便だからね」


さる雑誌のインタビュー記事で上記の発言をした諷刺作家の松崎しげルンバは、雑誌発売二日後、OX労働組合員四名から連行拉致され浅間山にて十二時間に及ぶ集団暴行を受け、全身打撲で死亡した。
世の中には言ってはいけない一言もあるものである。