表現のあな、恐ろしや

ここ最近、高校野球シミュレーション4なるフリーゲームにどっぷり嵌まっていて、これはプレイヤーが高校野球監督になり、思春期真っ只中の高校球児どもをレギュラークラスと補欠クラスに振り分け、補欠連中には365日休日返上で校庭をひたすらランニングさせた挙句三年間一度も試合に出させてやらないという、強豪校と讃えられている高校ならばどこにでもある現実を、最高権力者たる指導者の立場から追体験できるのである。しかも、ゲーム中のシナリオが進めばフリーの監督にならないかと学長から打診され、それに応と請け負うと他校に転校でき、以後一年間の戦績次第で収入が変動されることになる。選手は収入増の為の単なる駒に過ぎない。三年もすれば古いニキビ面が去り一年経てば新しいニキビ面が来る。ただ、それだけの存在なのだ。その割り切り方が、なお清々しく、こうして嵌まってしまったわけである。http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se479812.html


何? なぜ、そのゲームについて喋るか、だと。自分が楽しいと思ってやっている事を喋る時ほど、おれにとってこの上楽しいことはないのだ。おそらく、君たちもそうであろう。なんだって? 自分はオタクじゃないのだから一緒にしないでくれ、だって? だったら、もうよろしい、君とは話はしない。
物事がありとあらゆるジャンルに細分化された今、何らかのオタクではないという事は何も知らない事に等しいのだ。血液型の特徴だとかスポーツニュースだとかそういう誰でも知っている事をさも嬉しそうに語るのはやめてくれ、ぼくたちフツウだねということを確認し合って何がしたいのだ、馬鹿か。おれが聞きたいのは、おれの知らない事や、おれが面白いと感じる事柄で、世間や世間体の一切などどうでもよろしい。
このおれの言葉は正しくないかもしれないが、法律で定められたルール以外に、正しいとされる概念など何もないし、全ては無数の視点による無数の言葉によって世界はいかようにも変化しうる。それ故に、この世界がおれにとって好ましい具合に逸脱してくれることを欲する、その為だけにおれは文を書くのだし、あなたもそうあればいいではないか。多少ひねくれてもいびつでもいい。先人たちから受けた影響を内面的に継承し、見蕩れる行動または読ませる文によって外面的に表現する。世界的ベストセラー本の聖書も、キリストを題材に虚構で塗り固めたでっち上げの世界、力学法則に矛盾する出来事がばんばんと出てくるが、それらは美文によって濾過され、結果、世界に類を見ない程の支持を得る事になった。美文に人は屈するのだ。